日本で最も美しい村

結果発表

後世に残したい風景を
たくさんご応募いただき
ありがとうございました。
応募総数は3,260点。
厳正な審査の結果、
入賞が決定いたしました。

「日本で最も美しい村」連合は、
小さくても素晴らしい地域資源や、
美しい景観を持つ村の存続、それぞれの村が
自立を目指すための運動をしています。
失ったら二度と取り戻せない
日本の農山漁村の景観と文化。
日本の原風景。
フォトコンテストを通して、写真の力で、
日本の美しい村の景観と文化を守ります。

主催:NPO法人「日本で最も美しい村」連合
主管:一般社団法人 日本フォトコンテスト協会
後援:NPO 法人 フォトカルチャー倶楽部/カメラのキタムラ

審査員・選評:写真家 吉村和敏

入賞作品

グランプリ

仕事場へ2
西野 健治
撮影地:長野県小川村
選評
毎回桜をテーマにした作品が数多く集まります。春になると可憐な花を咲かせる桜は、
多くの日本人に季節感を抱かせると同時に、心の拠り所として暮らしの中に溶け込んでいるのかもしれません。
西野さんの「仕事場へ」は、小川村の中にポツンと佇む桜の大木をとらえたものです。
桜の一部分だけを切り取り、右下に年代物のトラクターを入れるなど、かなり計算して構図を練っていることがわかります。
またこの作品からは、春の日射しのあたたかさ、トラクターの長閑なエンジン音、小鳥たちの鳴き声といった日本の原風景の要素も伝わってきます。風景を撮ることに慣れてくると、
旅行パンフレットの表紙を飾るような美しい観光写真は簡単に生み出せます。
しかし、それらを一枚の作品に昇格させていくことはとても難しい。
この絵画を彷彿とさせるベストショットには、風景写真の極みがあるような気がしました。

特賞

  • 里の春
    白山 健悦
    撮影地:青森県田子町
    選評
    近年、夜空に輝く満天の星空をとらえた作品を様々な場所で見掛けます。
    高感度撮影に強いデジタルカメラの誕生によって、今まで撮ることが不可能だった世界を簡単に記録できるようになったからでしょう。
    華やかな星空の作品は確かに目を引きますが、肉眼では見られない世界なので、どこか違和感があることも事実です。
    白山さんの「里の春」の作品に心惹かれたのは、自然な形で夜空を切り取っていたからです。
    思わず小さな子どもたちに、「あれが北極星で、北斗七星とオリオン座だよ」と教えたくなってきますね。
    田んぼの脇にポツンと佇む茅葺き屋根の小屋もいいアクセントになっている。
    この美しいブルーモーメントの世界を見ていたら、美味しいお米は、日中燦々と輝く太陽以上に、神秘的な星空にも抱かれていることに気づかされました。
  • お蚕さん
    小山 亜泉
    撮影場所:群馬県中之条町六合
    選評
    六合村の集落には、養蚕農家が今でも数多く残され、養蚕が盛んに行われていた時代を今に伝えています。
    この作品は、赤岩地区の住人たちによって実際に行われている養蚕の様子をとらえたものです。
    緊張感ある縦位置の構図にしたからでしょう、蚕たちが桑の葉をモリモリと食べる様子が手に取るようにわかります。
    優しげな眼差しで蚕たちを見つめるお婆さんの表情も素晴らしい。
    都会で暮らし、最新のファッションに熱狂する若者たちは、絹が生み出されていく過程を意識することはないでしょう。
    しかしこの作品と接することによって、かつて日本のどの田舎にもあった養蚕という伝統産業に興味を抱く人がいるかもしれません。
    この何気ないスナップ写真は、観る側の心を動かす優れたドキュメンタリー写真とも言えるのです。

入選

  • 染まる町
    上縄手 拓
    撮影場所:北海道江差町
    選評
    江差町には、江差沖で座礁沈没した江戸幕府の軍艦「開陽丸」が原寸大で復元された形で残され、小さな町のシンボルになっています。
    そんな幕末のロマン漂う大型船を、鴎島から俯瞰でとらえ、町の景色と組み合わせて構成したことに、上縄手さんの風景写真に対する拘りに気づきました。
    最も感心したのは、雲の切れ間から顔を出した斜光を上手く使っていることです。
    赤味を帯びた強い光があるからこそ、軍艦の質感や存在感が強調され、旅情を感じる作品になったのでしょう。
    北海道の中でも古くから開けた港町江差には、江差追分をはじめとする伝統芸能や有形・無形の遺産が数多く伝承、保存されていることで知られています。
    統一感ある家屋が建ち並ぶ海沿いの景観を見つめていたら、まるで欧州の港町を彷徨っているような気分になってきました。
  • いにしえの大八車
    広田 和夫
    撮影場所:長野県南木曽町
    選評
    毎年、勤労感謝の日に行われる文化文政風物絵巻之行列で生み出された作品です。
    たくさんの観光客が集まる祭りにカメラを向けると、どうしても見物人たちが画面に映り込んでしまいます。
    しかしこの作品は、祭りに参加している人のみで構成されており、なおかつ、大八車に揺られる6人が、当時の暮らしの様子を完璧に演じているのです。
    背景にある宿場の家並みも、作品の力強さに一役買っている。
    まさに映画のワンシーンを切り取ったような傑作に、思わず唸り声を上げてしまいました。
    日本人が、海外の村祭りに関心を抱くように、外国人も日本の村祭りに強く憧れを抱いているのです。
    このユニークな作品との出会いによって、多くの外国人が南木曽町を訪れることでしょう。
  • ちょっとそこまで
    徳田 健太郎
    撮影場所:愛媛県上島町
    選評
    海水浴場を切り取った何気ない一コマです。
    穏やかで美しい海、雲ひとつない青空、清々しい木陰を作り出す松林。
    こんなにも完璧な海なのに、海水浴場には誰一人としていません。
    まるで南国の楽園のような海をめざし、お父さんと息子さんが会話をしながら歩いて行く……。
    都会で考えられないような贅沢な時を、見事な構図とシャッターチャンスによって作品にすることができました。
    都会人は、車に乗って、時には渋滞に巻き込まれながら海や山へと足を運びます。
    しかしこの町には、「ちょっとそこまで」という感覚で行ける、とっておきの場所があるのです。
    この一枚には、何者にも代え難いたい村の美しい自然と、この地で暮らす人たちの心の豊かさが凝縮されているような気がしました。

村特別賞

  • 空庭を駆け抜けて
    児玉 暁子
    撮影場所:北海道美瑛町
  • 美・サイレント
    岩本 一志
    撮影場所:北海道中札内村
  • 私の夢世界
    佐藤 みなこ
    撮影場所:北海道江差町
  • 夕暮れ時
    和田 宣生
    撮影場所:北海道滝川市江部乙
  • 神秘の泉
    浦田 凌吾
    撮影場所:北海道清里町
  • カルデラの里
    朝倉 拓雄
    撮影場所:北海道赤井川村
  • まっすぐな道
    桧枝 広美
    撮影場所:北海道標津町
  • 羊蹄山の湧水
    長友 逸郎
    撮影場所:北海道京極町
  • 祈りの小径
    嶋野 暁
    撮影場所:北海道黒松内町
  • 早朝の使者
    吉田 隼三
    撮影場所:北海道鶴居村
  • 青の里
    成田 多恵子
    撮影場所:青森県西目屋村
  • 幻影の門
    山内 雅人
    撮影場所:青森県弘前市岩木
  • 仏ヶ浦海岸
    松橋 洋司
    撮影場所:青森県佐井村
  • 自然に暮らす田子牛
    川名 美夏
    撮影場所:青森県田子町
  • 山ゆりの郷
    五十嵐 敏紀
    撮影場所:秋田県東成瀬村
  • 明治の町
    杣澤 みよ子
    撮影場所:秋田県小坂町
  • 里の春
    千原 武和
    撮影場所:山形県飯豊町
  • 開湯祭
    佐竹 吉廣
    撮影場所:山形県大蔵村
  • 昭和へタイムスリップ
    平栗 大明
    撮影場所:福島県昭和村
  • 流れ弾けて
    山岸 貴廣
    撮影場所:福島県大玉村
  • 只見の秋
    海老沢 好男
    撮影場所:福島県三島町
  • さくら
    赤石澤 玲奈
    撮影場所:福島県飯舘村
  • 冬の日の楽しみ
    相沢 功
    撮影場所:福島県北塩原村
  • 仕事が出来る事が幸せと云う
    渡部 久恵
    撮影場所:栃木県那珂川町小砂
  • おんべいや
    千葉 直江
    撮影場所:群馬県中之条町六合
  • 結界
    倉林 伸夫
    撮影場所:群馬県中之条町伊参
  • 夜空に花開く
    大塚 喜広
    撮影場所:群馬県昭和村
  • 緑の季節
    古橋 隆宏
    撮影場所:山梨県早川町
  • 高原の木曽馬
    小口 照人
    撮影場所:長野県木曽町
  • 送り火
    河本 眞一
    撮影場所:長野県南木曽町
  • 陽光を浴びて
    串原 幸延
    撮影場所:長野県中川村
  • 中世の村祭り
    佐川 隆博
    撮影場所:長野県原村
  • 晩秋
    細川 純也
    撮影場所:長野県大鹿村
  • 秋桜のバス停
    澤 広行
    撮影場所:長野県伊那市高遠町
  • 春陽に輝き優雅に咲く
    中島 明俊
    撮影場所:長野県高山村
  • 里山の朝
    柳澤 一男
    撮影場所:長野県小川村
  • 在来茶のお茶摘み
    田口 昌史
    撮影場所:岐阜県東白川村
  • 伝統の火ぶり漁
    杉山 浩
    撮影場所:岐阜県下呂市馬瀬
  • 花の都
    間部 碩敏
    撮影場所:静岡県松崎町
  • 神楽の夜
    原 潔
    撮影場所:静岡県川根本町
  • 癒しの文化育む村
    奥谷 忠浩
    撮影場所:京都府伊根町
  • 茶摘みに勤しむ
    大井 幸枝
    撮影場所:京都府和束町
  • 冬の色
    中島 直樹
    撮影場所:兵庫県香美町小代
  • 赤い径
    辰巳 功
    撮影場所:奈良県吉野町
  • トンネルを越えて
    山本 昌平
    撮影場所:奈良県十津川村
  • 高峰に輝く
    岸本 修平
    撮影場所:奈良県曽爾村
  • 崎だんじり祭
    岡田 文夫
    撮影場所:島根県海士町
  • 天空の滝
    谷口 奈緒子
    撮影場所:鳥取県智頭町
  • セラピー弁当
    藤原 恵子
    撮影場所:岡山県新庄村
  • 穀雨
    おどみ 岐諷
    撮影場所:徳島県上勝町
  • 瀬戸内の夜明け
    宮田 敏幸
    撮影場所:愛媛県上島町
  • 夏相撲
    石川 賢一
    撮影場所:高知県本山町
  • 御輿の川渡り
    山中 正光
    撮影場所:高知県馬路村
  • 体験学習
    石村 國男
    撮影場所:福岡県八女市星野村
  • 春の宝珠山駅
    福原 良一
    撮影場所:福岡県東峰村
  • トップバッター
    栗田 敦
    撮影場所:長崎県小値賀町
  • 里山の春
    増田 哲子
    撮影場所:熊本県高森町
  • 新緑を歩く
    島村 直幸
    撮影場所:熊本県南小国町
  • 里の朝
    豊永 美和子
    撮影場所:熊本県球磨村
  • 寒さ厳しいある冬の日
    堂元 久志
    撮影場所:宮崎県椎葉村
  • 花の稜線
    山角 一彦
    撮影場所:宮崎県高原町
  • スナップでこの景色!
    糸満 尚貴
    撮影場所:鹿児島県喜界町
総評
2020年は新型コロナウイルスの影響で自粛を余儀なくされ、例年のように気楽に旅に出掛けることができなくなりました。
関係者一同、作品が送られてくるのだろうか……と気を揉んでいましたが、蓋を開けてみると、前回のフォトコンテストを越える3500点以上のもの作品が集まりました。

今回のフォトコンテストでは、「村の彩」「村の空・山・海」「村の実りの四季」「村の祭りや伝統」「村の建造物自慢」「村と食」「村と人」「自由」という8つのテーマが設けられました。すべての応募作に目を通す第一次審査は、各テーマを強く意識した形で選考が行われ、プリントした作品を会議室のテーブルの上に並べて行われる第二次審査は、作品から伝わるメッセージ性や写真の技術力などを考慮し、徐々に入賞作品を絞り込んでいきました。
日本各地に点在する村の表情は実に変化に富んでいます。そのため、選考作業はとても楽しく、スムーズに進みました。

「日本で最も美しい村」連合の事務局には、地方で暮らす方々からたくさんの「声」が寄せられます。
近年増えてきているのは、家族、または一人で村へ居住し、毎日充実した日々を過ごしている、という喜びの報告です。
中には、過去のフォトコンテストの受賞作品に感化され村への居住を決意した、という人もおり、
そんな嬉しい知らせを受けるたびに、1枚の写真に秘められた「力」と、このフォトコンテストの重要性を意識しました。

皆さんから寄せられた作品を見ていると、日本の美しい自然、歴史や文化の奥深さに改めて気づかされます。
毎年の受賞作品を紹介しているホームページの作品一覧は、端的に日本の村の魅力を世界に向けて発信するポートフォリオになっていくことでしょう。
是非これからも「日本で最も美しい村」を撮り続けてください。世界中の人たちの心を魅了する素晴らしい作品を期待しています。
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